2868人が本棚に入れています
本棚に追加
『(まさか的確に攻撃してくるなんて……まぐれかしら?)』
その可能性はあると吸血鬼は勝手に考え、もう一度同じように攻撃を試みた。しかし
『うっ』
やはり頼斗が攻撃をしかけて来た。今回は吸血鬼の方も攻撃を予想していたので、さっきのように驚きで止まることもなく、簡単に躱した。
『(いったいどうなってるの?)』
今度は吸血鬼が焦る番だった。さっきまで一方的だった相手が、いきなり自分と対等に戦いだしたのだ。焦るのも無理はない。
「攻撃して来ないのか?まさかビビって動けないのか?」
吸血鬼の思考を遮るように、頼斗が挑発的な言葉を発した。普段ならこんな易い挑発にのったりしないのだが、このとき吸血鬼は焦っていたのもあり、挑発にのって攻撃してしまった。
何故かその攻撃のスピードには先ほどまでのような、驚異的なスピードはなく(それでも常人では追えない)、天無よりわずかに早い程度のスピードだった。
ガキィン-
金属がぶつかり合う音が森に響く。
「これがお前の本当の【スピード】なんだろ?」
吸血鬼の爪を受け止めたまま、頼斗はニヤリと口元を歪めながら、そう尋ねた。
最初のコメントを投稿しよう!