始まりの鐘は学校のチャイム

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「ほれ、駅が見えてきたぞい」 「龍が邪魔で見えへんわ」 この龍と呼ばれた男こそ、レイス・アーサーその人。白い髪をツンツンに逆立て、いつも銀縁で青いレンズのスポーツサングラスをしているため目は見えない。だが通った鼻筋や形の良い唇などから、かなりの美形であることは確かだ。また、本名で呼ばれることを嫌い、神崎龍(かんざき りゅう)を名乗っている。 この世界には各国の王族についで力を持つ十貴族というものがある。 その中の二つである、クラウドとクリストファーが合わさってできたものがアーサー。つまり、十貴族ではないが、十貴族以上の力を持つ。 その名を出すと、皆畏れ、敬うため、その名を嫌い、適当な家名を買って神崎龍と名乗ることにした 駅に着き、汽車を降り、周りを見回し、そして気付く 「なあ。ここ、浮いてへん?」 「そうじゃが‥‥それがどうした?」 「風で上下してかなり怖いんやけど‥‥」 「まあ、そんなこと気にもならんほど怖いもんは世の中にいろいろあるもんじゃ」 「‥‥それ、今関係あるん?」 「ふぉっふぉっ。付いてくればわかることよ。ふぉっふぉっふぉっふぉっ」 「?」 それはすぐにわかった。駅を出る時、階段があり、下を見る。 「長ッ!?なんやこれ!!下見えへんやんかッ!!!」 「じゃから言うたろうに。ほれ、降りるぞ。」 階段を降りる、ただそれだけのために2時間もかかった。それだけでも恐ろしいが、何より怖かったのは階段が揺れることだ。 風で駅が揺れるのならば、当然引っ付いている階段も揺れる。足元が膨れ、盛り上がり、傾く。 上から見たら下の方が霞んでいるため、一度転んだら地獄まで止まりそうにない階段を、必死に3人は降りた。 階段を降りるのに必死だったために力を使い果たし、下で待っていた車に乗り込んでから学園に着くまで、寝てはいないが意識があるのかも怪しかった
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