自由の国

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   『フゥ~~。それにしても暑いし、狭苦しいなぁ』  俺は暗い闇の中で一人、小声で囁く。  ここは車の中。と言っても通常の車の中とはわけが違う。  運転しているでもなく、勿論助手席や後部座席に座り、飲み物やファストフードを頬張りながらゆったりと寛いでいるわけでもなかった。  そんな状況なら……どんなに幸せな事か。  狭く息苦しい暗闇の中には車内に大音量で流れるロックの歌声だけが漏れ聞こえてくるだけ。  聞き覚えのあるその魅力的なサウンドは俺が大ファンのロックグループの名曲だった。
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