偽・捨て猫狂想曲(ラプソディ)。

2/5
前へ
/31ページ
次へ
今から数えれば三年前の夏になります。 私はその時高校一年生でした。 教師達が「まぁ、今日から始めて1日1ページやればなんとか終わる量だから」と、7月1日に公言して憚らない量の宿題から少し目をそらし、私はパソコンに向かっていました。 台本を書くためです。 私は演劇部に所属しており、そこで優しい先輩と気の合う同学年の仲間と共に、楽しく部活動に励んでいました。 うちの演劇部は毎年、秋の大会には夏休みから準備に取りかかります。 演劇の準備の一番最初は、台本を決める事です。台本が決まり、役が決まり、稽古が始まり、稽古を見ながらスタッフは音響や照明を決め、そして本番。これが大まかな流れです。 したがって演劇部員には夏休みの宿題がもう一つ増えます。 それは、8月1日の部活の日までに、台本を書いてくる事。 全部とは言わないから、ある程度のあらすじと、中身10ページ。 自分の文字の汚さには自信があった私は、だからパソコンに向かっていたのでした。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加