偽・捨て猫狂想曲(ラプソディ)。

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徹夜紛いを何度か繰り返し、提出日前日に漸く私の台本は10ページに達しました。 題名は、『捨て猫狂想曲(ラプソディ)。』 我ながら、ありがち極まりないタイトルだと思いました。 けど、題名がまず思い浮かんで、そこから想起して作った話なので、もはや変える訳にはいかないのでした。 内容は、大体このような感じです。 舞台はある高校の、部員5人の弱小同好会。その同好会の部長である主人公は、部活中に一匹の猫を拾う。雨に打たれてで弱った猫を部員全員で看病するが、誰も飼うことは出来ないのだった。学校で飼うことを提案する主人公に顧問が投げた言葉は「非現実的」。それならばなんとか飼い主だけでも自分達で見つけようと部員達は奔走する中、猫は脱走してしまう。探偵クラブの助けも借りて猫をなんとか見つけ出した部員達を待っていたのは、「学校で猫を飼うことの許可が下りた」という顧問の言葉だった。 …内容も、とてもありがちです。 高校生がやるお芝居ですから、ここぞとばかりに台詞はみな青臭く、現実味のない理想に満ちていて、しかも学校で猫を飼うという有り得ない結末を迎えます。 嘘にまみれた虚構のお話ですが、舞台の上でならどんな綺麗事も許されます。 なかなかいい物が出来たとほくほくしながら、私は部室へ向かいました。
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