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薄暗い森はレイ達の心を蝕んでいく。
この森には朝が来ない。
背の高い大木達が空を覆い尽くしているためなのだろうか。
(暗いなぁ。つか、さっきから獣の気配がしないな…。)
あれほどまでにいた獣は姿を見せず、静けさしかないこの空間はもはやどこにでもある森でしかない。
(レナも大人し…!?)
ちらっとレナを見るとダラダラと汗をかき、フラフラしていて今にも倒れそうだ。
「おい!?大丈夫か!?」
「平気だよ…?」
「嘘つくな!とにかく休もう。」
仮面で顔は隠されているが息遣いが荒い。
レイはレナをおぶり、平坦な場所へ移動した。
レナを優しく降ろしてやるとレイは枯れ葉と木の枝を集め持っていたライターで火をつけた。
辺りが少し明るくなったことを確認し、弱っている彼女に目を向ける。
(黄緑の髪…?)
レナの髪は珍しい黄緑色の髪で、高い位置に一つで縛ってある。
(黄緑…黄緑…。)
レイは、虚ろな目で黄緑色の髪を触ろうとした。
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