始まりが君だった

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2×××年。 急速に技術の発展を遂げた帝都アルフォーテの近隣の村ナタリー。 一人の男が大木に寄り掛かりながら空を見上げていた。 淡い茶色の瞳、ツヤツヤした水色の髪、歳は外見からして20、21才といったところか。 「今日か…この村を出るのは。」 寂しくなるなぁ…とぼやきながら頭をポリポリとかいている。 「レイ兄ちゃーん!」 レイと呼ばれた男は軽く微笑んだ。 「なんだー?イアラ。転ぶぞー。」 イアラという名の少女は、レイに向かって走ってくる。 が、でこぼこした石に躓きズザァと派手に転んだ。 「痛ーい!」 「ほら、みろ。仕方のない奴だな。」 イアラの膝からは出血して軽く皮が向けている。 レイは、イアラをヒョイと抱くと彼女は泣き出した。 「だってレイ兄ちゃん、今日この村を出ていっちゃう日だから…だから…。」 「ごめんな…。イアラは大切な妹…必ず此処に戻ってくるよ。」 「約束だよ?約束破ったら許さないんだからねっ!」 「わかったわかった。取り敢えず家に戻ろう。手当しなきゃな。」 うん!と元気よく返事をしたイアラに優しく微笑み、自分達の家へと戻っていった。
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