始まりが君だった

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「んじゃ、行ってくるよ。」 イアラの手当をした後、頭を撫でながらそう言った。 「気をつけてね…。」 「俺が帰ってくる間はサリーおばさんにお世話になってもらうんだぞ?後、俺がいないからって一人で危険な事すんなよ?この間だって…「もう、わかったから!心配しすぎ!」 くどくどと説教をするレイに痺れを切らしイアラは強い口調で言った。 レイは、イアラが心配だった。まだ12才の子供。大切な妹に何かあったら…とつい過保護になってしまう。しゅんとうなだれた兄の姿を見てイアラはクスッと笑った。 「大丈夫だよ。私、いい子にしてる。あんまり子供扱いしないで?それに…。」 「それに?」 「レイ兄ちゃんは必ず此処に戻ってくる…でしょ?」 不安そうにレイを見上げる。キョトンとした後、フッと笑いイアラの広いおでこにデコピンをした。 「ああ、戻ってくる…。」 (絶対にな。) イアラはおでこを摩りながら満面の笑みをレイに見せた。 「じゃあな…。」 イアラは約束だよと小さく言うが、もう彼は振り向かなかった。
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