第一章

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受験塾に入るには、入塾テストという名の、クラス分けの為のテストを受けなければならなかった。 初めてのテスト。 入塾テストは、小学校でやっている内容ばかりだったが、 算数の問題で、最後の大問、角度の計算が全て分からなかったのが、凄く残念だったのを覚えている。 「では、10月から、ということでよろしいでしょうか?」 テストが終わり、感じのいい塾長がにこやかに蛍の母、優梨子に話し掛ける。 「あ、はい。よろしくお願いします。」 優梨子が口元に笑いを浮かべてお辞儀をする。 慌てて、続いて蛍がペコンと頭をさげる。 「いえいえ、こちらこそよろしくお願い致します」 塾の雰囲気も、蛍が思っていたより、明るく、柔らかいもので、蛍は期待に胸を膨らませていた。
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