爺少女

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家族構成は両親に兄、 そしてワシ。 両親の年齢は30過ぎ。 兄は高校2年で、 不良とやらになっておる。 ワシは兄が嫌いではないが、 チャラチャラしよるから 苦手だ。 「しおり、お帰りなさい」 町の一角にある、 我がアパートに着いた。 アラームを鳴らすと、 柔らかい微笑で ワシの帰りを迎えて くれるのは、 いつだってこの優しくも、 厳しい母親。 ちなみにワシは余り怒られた 記憶は無い。当たり前か。 「ただいま。 今日はこれから、 あおいさんの家に 行くね」 最近は幼稚園の頃から さんづけを強要 されるんでな。 前世では呼び捨てが 多かったんだが、 もう馴れてしまったわい。 「はいはい、 いってらっしゃい」 ワシはとりあえず、 自分の部屋に入り、 ランドセルを置き、 着替える。 「う……」 生まれてずっと、 ワシは自分の身体が 恥ずかしい。 有ったハズのモノが ないし、体つきが全然 違うからの。 こればっかりは、 いくら経っても 馴れないものだ。 「いってきまーす」 着替えたワシは 足早に玄関へ向かい、 靴を履き、ドアノブに 手を触れる。 「いってらっしゃい」 ワシは今、 女の人生を歩んでいる。
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