爺少女

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あおいさんの家は、 別に豪邸という 程でもないが、 それなりに広い一軒屋だ。 うむ、あの喋り方は ダテじゃない。 「あー何だ、 みさきさんも来てたんだ」 「失礼ね、じじい。 来ちゃわるいかしら?」 もう一度言う。 ワシのあだ名はじじいだ。 女なのにじじいだ。 じじ臭いからじじいだ。 ばば臭いで良いとかいう 意見もあがったのだが、 語呂が悪いとかなんとか。 そんなんだから友人の中で、 ワシをしおりと 名前で呼んでくれるのは、 この家に招いてくれた あおいさん程度のものだ。 「いや、別に悪く無いよ」 「ふーん」 この子はすぐにクチを 尖らせてスネるから 困ったものだ。 やはり子どもの扱いは苦手だな。 まぁ今のワシで言えば、付き合いか。 「むしろ嬉しいって感じ?」 「ふーん」 ただ最近分かって来た。 結構子どもは単純で、 褒めたりすれば結構 なんとかなるもんだ。 「はい、クッキー焼け ましたわよ?」 あおいさんと、 その母が一緒にクッキーと 紅茶を、 ワシ達が居るあおいさんの 部屋に持って来て下さった。 「「「いただきます」」」 お茶という名の、 おやつの時間が始まった。
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