爺少女

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夕飯を食べれないと 問題なので、 クッキーは少し控えめに しておいた。 けど、みさきさんは バクバク食べていた。 夕飯大丈夫かね。 「ただいま」 「おかえりなさい」 時刻は6時。 まだ父親は帰って 来ていない。 もちろん兄もな。 「楽しく遊べた?」 「うんっ!」 元気良く返事をしたが、 本当言うと全く楽しく 無かった。 恋話やら占いやら何やらと、 くだらない事ばかり 喋りおって全く。 時間の無駄な浪費だ。 だが今の人生を上手く 生きて行くには、 仕方の無い事。 「ところで夕飯なに?」 「しおりの好きな、 豚肉の生姜焼きよ。 あとキュウリの浅漬けと、 味噌汁ね」 それは良い事を聞いた。 今夜は食が進みそうだ。 「あと、しおりは良い子 だから、日本酒買ってきて おいたわよ」 こんな子どもに酒を 飲ませるのは、 いささか常識にかけて いるのではとお思いだろう。 だがまあ、そう言うな。 ワシが酒を飲むと、 前世の魂が蘇って父親、 もとい息子のグチを聞いて やれるんだからな。 ちなみに、 そういう設定になった きっかけは、 ワシがこの馴れない生活に ムシャクシャして酒を 盗み飲みし、 帰って来た父親に 説教したのが始まりだった。 その時は、夫婦間の中が 父親のせいで悪かったん だっけな。 ……でだ、つまりワシに酒を 飲ませるって事は、 夫婦のどちらかがワシに グチを聞いて欲しい。 そういう事になる。
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