第1話

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      もうすっかり暗くなった街の外れ     重低音を響かせながら走る車の後ろを郵便配達員のバイクが走っていた。   男がバックミラーに映るバイクに気付き 助手席に座る女に向かって吐き捨てた     「チッ、いちいち後ろ走んじゃねーよ!糞ポリコーが!」     さっきから重苦しい沈黙が続いていた車内が それを合図に乱れ出す。     「いちいちそんな事で怒鳴らないでよ!急に叫んだりして! だいたい今日はあなたが悪いんでしょ? 私に当たり散らさないでよ!」   「テメー勘違いしてんじゃねーぞ!関係ねーんだよ! 俺はただ、 お巡りが嫌いなだけなんだよ! 粋がってんじゃねーぞコラ!」       ユーロのビートを外にまで漏らす車の後ろを ただただ、       郵便局員、中瀬太一のバイクが走っていた。                    ▽ゆうび▽
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