第1話

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  勢いよく太一は千円をねじ込み気分良く打ち始めた。   いつもの太一なら 液晶の中の僅かな違いも見逃さない様に食い入るように見つめているが 今日は違った…     (…今日は勝てる…)     自信に満ち溢れたその態度。    太一が携帯電話に目をやるとそこには… メガポラリスにも似た携帯ストラップ   余裕たっぷりに見つめながらその携帯ストラップに軽く触れ液晶へと目を向けた…     太一はトイレの入り口に近い角から3台目に座る   なぜなら先日、携帯ストラップを買う時に 兄ヤンっぽい男から不機嫌そうに一言、     「角3…」     暗号にも似た言葉を聞き、 角から3台目だと思い込み 言われるがままにしてるからである。    新台には目もくれず座っている台は   《CR冬のソナタ》   この日の新台 《CR冬のソナタ2》は角から3列目とは知らずに…。   ただ太一は兄ヤンの 「角3…」 のセリフと 初めて会ったはずの顔を思い出しながら 携帯ストラップを遠い目でみつめていた。                   「カヅ」
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