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―次の日
朝、学校に来て下駄箱を開けたら大量の薔薇の花が詰められていた。
「……新手の嫌がらせか?」
パラパラとこぼれ落ちていく薔薇を見ながら悟が隣で顔をしかめていて、俺も思わず固まってしまった。
「ねぇ…手紙」
のりちゃんが薔薇に埋もれた手紙を見つけて掴み上げる。
俺はそれを受けとると眉を寄せて封筒を裏返した。
「なぁかぁざぁと…」
「差出人はなかざとらしいな」
「知ってる?」
「え~…知らないんだけど~…」
聞き覚えのない名前にとりあえず封筒を開けて中の手紙を開き…
『僕の子猫ちゃ…
―グシャっ!グシャグシャ!!
「浩輝!?」
「春野君!?」
出だしを読んですぐに丸めた。
困惑する二人を横目に丸めた手紙に握力を加えてさらに小さくする。
「やっぱり新手の嫌がらせか?」
「うん!」
「ラブレターに見えたんだけどなぁ…薔薇に手紙…」
「その通りだよ」
「「「!」」」
「おはよう、僕の子猫ちゃん」
背後から急に声がして、3人揃って後ろを向くと、そこには手紙の差出人であろう、昨日の男が立っていた。
爽やかに挨拶しながら自然な流れで腰を抱き寄せられ思わず抵抗を忘れてしまう。
―カシャッ
「……のりちゃん?」
「!ご、ごめんね…つい」
携帯の写メの音が聞こえて横を向いたらのりちゃんがこちらに向かって携帯を向けていて、苦笑いをしながら視線をそらした。
「っていぅ~か!これ超迷惑なんですけどぉ~」
ビシッと下駄箱を指さすと、男は「何が?」と言いたげに首をかしげてくる。
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