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「あっ!ちょっと離せ!」
「とーや」
「は?」
「は?じゃなくて、僕の名前は中里十夜。」
「だから何!」
「とーやって呼んで?」
「黙れ変態」
「罵倒されると萌えるんだけど」
「いいから離せって!」
「とーやって呼んでくれるなら離したげる」
「あーもー!十夜!」
ハイ、とあっさりと手を離した十夜が満足気に笑うのを見て思いきり舌打ちをした。
―ピピッ
電子音に振り返ると香緒が携帯ムービーを此方に向けて鼻を押さえていた。
「やだ~もぉ~私これだけで死んでもい~何今のやりとり!見た?先輩見たっ!?」
「………」
先輩はどっと疲れた表情を浮かべて香緒の腕を掴んで歩いていく。
なんだったのかと呆然としながらもハッと思い出したように床を見た。
生徒手帳がない!
「最悪~変態のせいで手帳無くした~」
「あれ?子猫ちゃん愛情不足かな?」
「……」
「さ、行くよ、子猫ちゃん」
急に腕を捕まれて咄嗟に逃げようとしたけど、予想外にしっかり捕まれていてビクともしない。
「お昼一緒に食べよう」
「は?嫌だし」
「女の子がそんな言葉遣いしちゃ駄目だぞ」
鼻の頭を人差し指でチョンチョンとつつかれて思わず捕まれて無い方の手が出た。
けれど簡単にそっちの手も捕まれてしまう。
「離せ変態」
「廊下でキスって萌えるよね」
「ご一緒させていただきます。」
「あぁ残念。もう一回変態って言ってくれたらキスできたのに」
「…………」
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