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昼食は、購買で買ったパンを校庭で食べた。
アイツが奢ると言ったので、名一杯注文してやったらさすがに驚いた顔をしていた。
「気持ちが良いくらい良く食べるね」
「………」
「でも栄養バランス悪いよね、明日から僕が作ってきてあげるよ」
「いりません。っていぅかぁご飯食べるのもこれきりだし~」
「またまた、照れちゃって」
「照れてない!」
俺は次々にパンを押し込みながら、ちょっと気になった事を聞いてみた。
「アンタさぁ」
「キスしたいの?」
「…………。十夜さぁ、なんで私が好きなわけ~?確かに顔は可愛いけどねぇ」
「そうだね、最初は顔がタイプだったんだけど、今まで僕の周りに居なかったタイプだからかな…みんな僕に媚び売るなか、あのハッキリした言い方にビビッと来たんだよ。あ、このこだってね」
「要はドMなんでしょ?」
「かもね」
イタズラっぽく笑うコイツに小さくため息をつく。
「別のドS見つけたら?ってか私Sじゃないし、第一ホント女の子じゃないから」
ため息混じりにそう告げても目の前の男はいつもと同じ笑顔を向けるだけだった。
―次の日
「え!春!?」
「おはよ…」
今日はとってもブルーだ…だって似合わない格好でいるんだよ。
ウィッグも、化粧も、可愛い制服も無し。
いい加減アイツに男だと証明するために仕方なく、仕方なく、仕方なく!男子学生の格好で登校した。
教室に入ったらクラス中が一瞬どよめいたのを見て更にテンションが下がる。
しつこいくらいに自分は可愛い可愛いって言ってるけど、それは自分で女の子みたいにしてる時だけで、男だと見られるこの格好で『可愛い』って言われるのは好きじゃない…
まぁでも今日1日だし、と一瞬気合いを入れた瞬間勢いよく扉が開いてアイツが現れた。
「おはよう子猫ちゃん!」
「…………」
あえて無視してみた。
気づくだろうか…
案の定男はキョトンとした表情で周りを見渡している。
何だか面倒くさくてふぃっと視線を反らしたらアイツは「あ。」と声をもらして一直線に此方へやってくる。
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