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反らした俺の顔を覗きこむと、いつもの調子でヘラリと笑うと「子猫ちゃんおはよう」と告げてくる。
「今日はどうしたの?そんな格好して」
「これが正装ですよ」
「うん、こっちも可愛いけどね」
そう言われてピクリと眉が動いた。いくら可愛くても、俺は女装していた男子であって、決して男装している女子じゃない。
すると一瞬不安げに歪んだアイツが口を開く。
「子猫ちゃ「十夜」…」
「……なぁに?」
「ちょっと来て」
俺はアイツの手を取って教室を出た。
向かうは、男子トイレ。アイツは黙って俺の後に着いてきた。
「見たら分かるよね?俺男だよ?」
「うん、そうだね」
コイツは掴めない顔でいつもみたいに笑う。
「こんな顔してるけど、アンタとおんなじもんついてるんですよ」
「そうみたいだね」
「……ホントわかってんの?」
「もちろん」
「……あんたホモなの?」
「まさか」
「そう。じゃあ諦めてくれるよね?」
「何で?」
「何でって…」
あまりにもスラリと何でと聞かれてこっちが呆けてしまった。
「僕は子猫ちゃんラブだからね。どんな格好してても関係ないと思うんだけど…」
違う?と小首を傾げられて大きくため息をついた。
「あのさ、良く聞いて。まず、俺は女の子が好きで、男には興味ない。次にドSじゃないし…だから、十夜はアウトオブ眼中。範囲外。つまり、アンタのラブアタックは迷惑なのね?」
ちょっと言い過ぎただろうかと思ったけど、コイツは予想以上に勘違いしぃだからこれくらいでいいかもしれない。
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