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夏。
アスファルトの照り返しでジリジリ肌を焼かれる感覚と、滲む汗に苛立ちを覚えながらも私の足取りは軽やかだった。
何を隠そう来週は地元のコミケの日。
この為に大金はたいて注文した服が専門店に届いたから其を取りに行くところだったり。
「服のためならえ~んやこ~ら!」
「香緒ちゃん、声に出ちゃってる…」
一緒に服を取りに行くために横にいるのりちゃんが苦笑いを洩らした。
「だって楽しみなんだもん」
「私、香緒ちゃんとこの街でやるのは初めていくからドキドキ」
「え?超ショボイよ~人少ないし、出してる店も少ないし…でも、ショボすぎて素敵サークルさんと仲良くなれるんだけどね~」
今回は私も出店するから余計力が入るってもんよね!!
今回はちょっと頑張って露出の多いメイド服☆
私の顔に萌えるとか萌えないとかじゃなくて…まぁ楽しければいいのよ!
服を貰ってさて帰ろうとした時に、携帯から『運命』が流れてきた。
『来週の水曜日出かける』
相変わらずの短文&強制メール…
でも、来週の水曜日は…
『コミケがあるから無理です』
すぐにまた返事が来た。
『今どこ』
「がっこうの…ちぃかぁくっと…」
「よしちゃん?」
「うん。」
「よしちゃんは知ってるの?コミケ行くって」
「うん。のりちゃんのお陰で抵抗なかったみたい。ていうか、どうでも良さそうだったけど…」
「よしちゃん、コミケが何か分かってるのかな?」
「あんまり分かってないみたいよ。バザーみたいなとこだと思ってるみたいだけど…」
「まぁ…間違いではないよね」
「うん…だからあえて訂正もしてないの」
返事を送ると今度は『今から来い』と一言…
「はぁ……」
「よしちゃん何だって??」
「今から来いって…」
「あはは……」
ホント自分勝手な男だわ…
そう思いながらも、のりちゃんと別れてちょっと急ぎ足で吉沢の家に向かう私って…
出来た彼女だわ…
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