正月パニック

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「そう。良かった。時給は弾むからね」 ニコリと笑ったおじさんを見て吉沢がジトリと視線だけこちらへ向ける。 「釣られたな…?」 「アハハ!何のことだか!ご馳走さまでしたー!」 とぼけたふりをしてオムライスを平らげると、皿を持って厨房へ逃げた。 片付けはやらなくていいって言われてたけど…流石に…ねー? …と、言うことで年末。 朝が早いということで今日は吉沢の家にお泊まりです。 もちろん、寝る場所は吉沢の部屋じゃないよ? じゃなきゃおじさん、泊まりなんて許さないしね、流石に。 「先輩は紅白見ないの?」 「あ?ああ、別に好きなん見ればいい」 「あ、そう」 吉沢の部屋でテレビのリモコンを弄りながら後ろにいる吉沢に声をかけた。 吉沢は私を膝の間に座らせ床に置いた雑誌に目を通しながら気の無い返事をする。 見ないかと聞いてはみたものの、あんまり私も見てなかったり…なんとなく吉沢が見ていた雑誌に視線を落とした。 「ああ、こういうの似合いそう」 「ん?」 見ていた雑誌に乗っていたジャケットを指差すと吉沢が後ろで笑った気配がした。 「テレビ見ねえのかよ」 「んー、見てますよ」 「あっそ」 何故か機嫌良さげな返答が来て訝しげに振り返ろうとしたら吉沢の手が私の腰に回って不穏な動きを始めた。 「ちょっ!」 「何だよ。ここは流されとけって」 「何言って!」 「今年最後に脱、ヴァージ、いっってえ!!」 アホな事を言う吉沢のみぞおちに思いきり肘鉄を食らわせて吉沢の膝からにげた。 危ない危ない… 「ほ~…俺に肘鉄食らわせるたぁいい度胸じゃねぇか…」 いつもなら引き下がる吉沢がそれはもう悪どい笑みを浮かべて立ち上がる。 「だって先輩が変な事するから!」 「まだしてねぇだろっ待てコラ!」 「いーやっ!」 手を伸ばす吉沢から逃げるように部屋の端まで行くと急に部屋の扉が開く。 「追いかけっこかい?」 「お、おじさん…」 扉の所にはぁ盆に蕎麦を乗せたおじさんが立って笑っていた。
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