116人が本棚に入れています
本棚に追加
まぁ…どのみち家に帰って着てみるつもりだったしいいか…
テキパキと着替え終わって、改めて上から服を眺めてみる。
ワインレッドの服は袖と首元に黒のリボン、スカートの後ろからは白いシッポが伸びてる。耳を付けようか迷った挙句、どうせシッポ見て付けろって言われそうだから付けた。
「おい香緒着替え終わって…」
「!!ちょっとノックくらいしてよ!」
いやまぁとっくに着替え終わってんだけど…
吉沢は人を見るなり不機嫌そうに眉を寄せた
「何か…?」
「お前…その格好で行くのかよ」
「まさか!会場で着替えるのよ」
「………駄目だ」
「はい?」
「お前さっきウエイトレスっつっただろうが」
「アキバではこんなウエイトレスがいっぱいよ」
少しムッとして言い返すと吉沢はため息をついた。
「とにかく、んな格好で行くな」
「嫌!似合わなくても着るんだからね!」
「似合わないとは言ってねぇだろ!」
「んじゃいいじゃない。これ3万もしたんだから!」
「さん……………」
呆れたような顔をする吉沢はまたため息…って何回ため息つくのよ!
あんたが何万もするジーンズ買うのと一緒の感覚よ!
「何よ…何でダメなわけ?」
「他の奴に見せたくないからに決まってんだろ」
吉沢が近づいて身構えると軽く唐突にキスをされて顔が赤くなる。
よ…吉沢って…
「こういうプレイが好きなの?」
「アホか」
「とにかく、行くからね!」
「仕方ねぇな…じゃぁ俺も行く…」
「………は?」
「だから俺も行く。どっかの変態が変な気起こさねぇように」
「誰が起こすのよ!!」
こんな凡人顔のメイド襲っても楽しくない。
「俺も行く。行くなっつっても行く」
アンタはどこのだだっ子よ…
「そ、そんなに行くっていうなら、先輩もコスプレしなきゃダメよ?こういう格好じゃなきゃ入れないの!」
「あ?俺にスカートはけってか…」
「違っ……たとえばアニメのキャラクターの格好とか…」
別にそんな必要はないけどね…
「嫌でしょ?ね??」
「別に」
「え!?」
「何でも着てやるよ」
だから行く、って真顔で言われてポカンとしてしまう。
「文句ねぇだろ」
「はい…」
は!!はいじゃねぇ!!
会場にこんな柄の悪いやついたら…お客さんこないじゃない!!!
最初のコメントを投稿しよう!