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悲鳴をあげた理由……。
それは男の顔が、体の様に青紫に変色していたのだ。
『な……。何あれ?』
《紗英》が震える声で《朋香》に聞いた。
しかし《朋香》にも、わかる筈がなく、首を横に振るだけしかできなかった。
男は二人を見ていたが、暫くすると、ゆっくりと車に近付いてきた。
二人は口を開け、呆然と男を目で追っていたが、逸早く《朋香》が気付き《紗英》に言った。
『《紗英》!!
窓を閉めて!!早く!!!』
《紗英》は一瞬の声に驚いたが、直ぐに理解し、窓を閉めた。
あの男が病気か怪我で、ああなったのかはわからないが、病気なら感染する恐れがあるので、感染を防ぐ為に窓を閉めさせたのだ。
更に言うと、男の目に狂気が感じられたのもまた、窓を閉めさせた理由だった。
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