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外に出るとベランダの時とは違い、不快に思う程の熱気と耳障りな蝉の音が響いていた。
『暑っつぅ~………。
やっぱり、家で待ってようかな?』
太陽を手で遮りながら小さな溜め息を付き呟いた。
プップッ!!
家に戻るか、そのまま行くか悩んでいた時、遠くからクラクションを鳴らした車が近付いてきた。
その車は《朋香》の目の前まで来ると止まった。
窓硝子越しに見える運転席には《紗英》が笑顔で小さく手を振っていた。
《朋香》も笑顔で手を振り返しながら助手席の方に周り、ドアを開けて乗り込んだ。
『早かったね。
もうちょっと掛かるかと思った。』
『早く会いたかったから、少し急いで来ちゃった。』
笑って言った《紗英》の言葉が嬉しくて、《朋香》は『ありがとう』と笑顔で返した。
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