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男は《紗英》が座る運転席側まで来ると、かなり強めの力で窓ガラスを叩き始めた。
その目には殺意さえ感じられた。
二人が恐怖に怯える目で男を見ていると、男は窓ガラスを叩くのをやめ、二人に向かって言った。
『何で…………。
オレが…………。
オレは何も知らなかったのに!!!』
そう叫んだ男は、二人の乗る車から、ゆっくりと離れ始めた。
(何する気………?
………。
まさか!!?)
《朋香》は、頭に過った事に不安を感じ《紗英》に叫んだ。
『《紗英》!!早く出して!!
あの人、体当りする気よ!!!』
キュルルルル………!!!
《朋香》が叫ぶのと同時に《紗英》がアクセルを目一杯踏み込み、タイヤと地面が擦れる音が車内に響いた。
『うわぁぁぁぁ!!!』
逃げようとする二人に気付き、男が叫びながら車に突進してきた。
バコンッ!!と鈍い音がし《朋香》が後ろを振り返ると、男は後部座席の窓ガラスに体当りし、そのまま倒れると《朋香》の視界から消えた。
『ねぇ?どうなったの?』
運転に集中している《紗英》は、後ろを振り返っていない為、不安になり《朋香》に聞いた。
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