感染者

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《朋香》は、夫の癖が移ったのか頭の中で一人、考察し始めていた。     『《朋香》……?   どうしたの?』     無言の《朋香》を《紗英》は気にして話し掛けてきた。     『ん?………あ!?   いや……。何でもないよ。』     《朋香》は笑顔で《紗英》に返した。     『でもさ………。   私達……。病人を置き去りにしたんだよね。』     今になって込み上げてきた罪悪感を《紗英》は感じていた。     『そうだね……。』     《朋香》は、そう言うしかなかった。     (確かに病人を置き去りにしたのは事実。   でも、もし助けていたら、私達も感染していたかもしれないんだ。)     《朋香》は、そう心の中で思い、罪悪感を頭から消し去ろうとしていた。    
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