感染者

12/14
前へ
/612ページ
次へ
『○○区にある《佐野》さんの事務所に来いって……。』     『それだけ?』     《朋香》が小さく頷くと《紗英》は、意味がわからないといった様子で聞いてきた。     『理由とかないの?   用があるからとか?』     『何も言ってなかった。』     《紗英》は《朋香》の言葉に鼻で笑うと、暫く吸わなかった煙草を鞄から取り出し、火を点けた。     そして、煙を勢い良く吐き出すと、皮肉っぽく言った。     『意味わかんない。   何なの?   急に連絡してきたと思ったら、《佐野》さんの事務所に来い?   私達は久し振りに二人で食事に行こうとしてるのに……   《朋香》も、そう思わない?』     《紗英》は、久し振りの二人の食事を邪魔された事に腹が立っていた。     それに、さっきの男に襲われたのもあり、立て続けに起きた事で苛立ちも倍増していた。    
/612ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1415人が本棚に入れています
本棚に追加