天敵

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「 やあ、ようこそ我らが学園へ 」   黒髪の方の彼が口を開き、にっこりと笑う。 「 は、はぁ…… 」   「 知ってる?この学園の新入生でやってくるのは、今期は君が最後だよ。 」   その言葉に私は驚いた   「 最後? 」 「 そう。  普通、入学が決まった人はみんな3月いっぱいまでに寮に入る事になってるし、そういう通知が届く。  だけど、君は今日だ 」    私は少し納得した。 どおりで他の新入生が見当たらないわけである。   「 何故だろう? 」   「 ……はい? 」   突然の彼の言葉に、私は聞き返した。   「 何故、君だけ今日なんだろうね。  今までに一度も、こんなことなかったのに… 」   「 そんなの、決めた人に聞いて下さい! 」    私だって、なんでこんな日なのか知りたい。 3月に入ってもなかなか連絡を寄越さなかったのは、学園側だ。  ……まあ、連絡が来ても来るのは無理だった気がするけど。  何故ならあの時はちょうど受験を…   そこで私はハタと思い当たった。 受験…そのせいだ。  3月頭、私は県外の高校で試験を受けていた。 そこは、県外からの入学も受け付けていて、この学校の手が届かなそうなぐらい、遠方の地域にある。    実際面接は、好感触だったし、和やかに終わらせた。 多分学校側は、学園の名前は知ってても、縁がないと思ってたと思う。 あ、筆記は自己採点したけど、落ちそうな点じゃ無かったよ。 けれど、届いた通知は不合格。 そんな通知でも、届くのは、受験を受けてから2週間後になる。    だから私だけこんな日になったのだろう。  ちなみに、なかなか他の高校に入学するのを諦めない私にトドメを刺したのは、  その翌日に届いた学園からの通知だった。  “あなた様がこられるのを楽しみにお待ちしております”   僚に入室する日にちと、学園での理事長との面談時間が書かれた後には、その一言が添えてあった。
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