天敵

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「 それよりも、そこ通してもらえませんか? 私、急いでいるので 」   私はちらっと腕時計を見るとそう言った。 そろそろ待ち合わせの時間だ。  だが、彼らにそこをどく気配はない。   「 今時腕時計してるなんて珍しいね 」   黒髪の少年はそう言ってニコニコしている。   「 あの~…私職員室に… 」   「 僕の名前は深貝 衛(しんがい まもる)2年で生徒会副会長 。  で、こっちが神楽坂 晃(かぐらざか こう)同じ2年の生徒会長だよ 」    そんなこと聞いてないんですけど…って   「 生徒会!? 」   「 そうそう。  まだ春休みとはいえ、仕事がたくさんあるんだけどね。 そんな中、君のためにわざわざここまで出向いてあげたんだよ 」    感謝して欲しいね。彼はそう言って、またにっこりと笑った。 笑ってはいるが…え~と…嫌味…?   「 衛、それは違うだろう 」   先程、晃と紹介された彼が口を開いた。 どうやら深貝 衛の言葉を訂正してくれるらしい。 私は期待して次の彼の言葉を待った。   「 忙しい中わざわざ、では無いだろう。休憩中だったのだから。  暇つぶしだ 」   余計ダメじゃん。 私は拳を握り締めた。
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