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「 もう!
貴方達が生徒会なのも、 暇潰しとはいえ、忙しい中お手数を煩わせたらしいのも分かりましたから、
いい加減通らせて下さい!」
私は叫んだ。
二人は煩そうに一瞬顔をしかめたが、そんなのこっちの知ったこっちゃない。
この二人が動かない事には、囲んでいる女子達が動いてくれないのだ。
まあ、私が新入生と分かった瞬間から、この会話の間、彼女達の眼中に私の存在は無いも同然なので、案外通れるかもしれないが…
私が下を向いて強行突破を本気で考え始めた時。
「そろそろ戻るか」
唐突に、興味を無くしたかのような声音で神楽坂 晃はそう述べた。
(やた!やっと通れる♪)
喜びに私はがばっと顔を上げた。が、
…ゾクッ…
よく分からない悪寒を感じ、固まった。
彼は私をひたと見つめ、黒い笑みを浮かべていたのだ。
まるで、目の前の玩具が愉しめるかどうか、値踏みしているような視線。
ゴクッと私は生唾を飲んだ。
さっきより一段と煩いハズの女子の声がやけに遠く感じる。
彼は声音とは裏腹に、私から興味を失ったわけではなかったのだ。
「エイプリル・フールに入って来たInvited Girl。
一応、候補に加えておくか 」
彼が呟くのが聞こえる。
同時に歩を進め、彼は私の右側に立った。
心得たように私の左側に深貝 衛が立つ。
「これは仮契約だ」
二人の顔がだんだんと私の両頬にスローモーションのように近付いてくる。
Invited Girl? 候補?
何の事だかまったく分からない。
ただこの現状から、仮契約に何をされるのか、それだけは理解することが出来た…。
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