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ようするに、この学園は裕福な家庭の子の為に建てられた、巨大なお見合い会場なのだ。
家柄を選ぶか、頭脳を選ぶかはあっち側の自由。
とすると仮契約とは、仮婚約。候補とは婚約者候補になる事だろう。
私の意志なんて関係ない…。私は下唇を噛んだ。
「 …っ…冗談じゃないわよ!!
私はそんな事の為に、志望校へ進学出来無かったわけ!? 」
「 その通りよ 」
淡々とし理事長が返してくる。その言葉に私は理事長をキッと睨み付けた。
「 あなたには悪いけど、これは裕福な代わりに、自由がないあの子達に、私達があげる事が出来る僅かな自由… 」
意味が分からない。何を言い出すのだろうか?私は、眉間にシワを寄せた。
「 あなたはこんな馬鹿げたことに巻き込まれてと思ってるでしょうね。
でもね、自由に恋愛出来ないのも馬鹿げていると思わない?
結婚ともなれば、一生の半分を決める事なのよ?
そんな大事な事まで自由に決められないなんて… 」
「 それはそうかもしれないけど… 」
だからと言って私の意志はどうなるのか…
私にだって思いや考え、なにより夢があるのだ。
無視されたくはない。
口ごもる私の考えが伝わったのか、理事長はため息をつくと、一度目線をそらした。
再び目線を合わせ、話し始めた理事長の声は優しかった。
「 …そうね、そう言われてもあなたは困るわね。何にせよ、こちら側のわがままなのには換わらないもの。
だから、その代わりと言っては何だけど… 」
「 代わり? 」
理事長は頷いた。
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