26人が本棚に入れています
本棚に追加
「 質問はないかしら? 」
理事長が尋ねる。
特にはない、私は頷いた。
「 なら、あなたが入る僚を教えるわ。
あなたが入るのは女子寮。菊、百合、桜と三つある中の桜僚、503号室よ。
寮までの地図は、その手帳に入ってるから。
あなたの荷物もそろそろ届いてるでしょう。 」
では、ごきげんよう。
そう言われて、私は理事長室を後にした。
手帳を開いて寮までの道を確認する。
私が入る寮は校舎に近いみたいだ。
寮へと向かう間、他にどんな機能があるのか確認してみる。
学園の概要、校章の由来、校則、日課標、アドレス帳など、普通の学生手帳にあるものは全部入っているようだ。
珍しいのは、先程使った校内地図、校内掲示板、学内メール、お便り機能だろうか?
それぞれチェックしてみると、掲示板には入学式の日時について書かれている。
学内メールは学年、クラス、出席番号が分かれば、メールが送れるみたい。
お便りには、『初めまして』というタイトルの、担任からのメッセージがあった。
他にも『生徒会より』と言うメッセージがあったが、ろくでもなさそうな気がしたので、無視しておく。
と、どうやら寮に着いたみたいだ。だけど…
「 困ったなぁ、どうやって入るんだろう? 」
鍵が掛かっているらしく、押しても引いてもドアが開かないのだ。
「 しょうがない、誰か来るまで待つしかないか 」
私はドアの前にしゃがみ込んだ。風がサヤサヤと髪をなぜてゆく。
バカバカしいことばかりおこるけど、唯一の慰めは今日が晴れている事だ。
暖かくて心地良い。
もし、雨だったりしたら最悪だっただろうな、と思った。
最初のコメントを投稿しよう!