寮生活

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「 …っく。……ひっく 」    長い黒髪をツインテールにした、女の子がボロボロ涙をこぼして泣いている…  服は泥んこ、身体は擦り傷だらけ、髪もボサボサ。  ただ…   「 あきらなんかだいっ嫌い!! 」    少女の瞳は怒りに燃えていた。肩幅に足を開き、眼前をキッと睨みつける。    手には大事そうに抱えられた、くまのぬいぐるみ。 しかし、そのくまは少女と同じく泥んこでボロボロ。その上、中の綿がところどころ飛び出している。    あきら、と呼ばれた少年は困ったような顔をした……と思うが、顔の部分が暗くてよく判らない。   「 あきらとは、もう遊ばない!! 」   「 ―――――! 」    踵を帰し走り去って行く少女。  その背中に、少年は何か叫んだ。謝って…いたのだろうか…    そんなことを考えていると、場面がパッと切り替わる。    少女が家に帰った所のようだ。母親がひどく驚いている。   「いったいどうしたの!?」   「ヒクッ…母さん…ごめんね…  誕生日のプレゼントに貰ったベアが破れちゃった…」   「そんなことはいいから…何があったの?」   「あきらがね…犬の玩具にしちゃったの…  やめてって…ダメって言ったのに…」   「そう……」    母親は息をゆっくりと吐いた。   「お金持ちの子だからかしら?」    小さく呟く。   「ごめんねお母さん…」   「謝らなくていいわよ。カグヤちゃんは悪くないでしょう?」   「でも、ベアが…」   「それは大丈夫♪  ママに任せなさい!  ママの腕は魔法の…」   ………… ――――――
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