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彼女は私と反対側のソファーに腰掛けた。一口優雅にコーヒーを口に運ぶと、ゆっくり、目の前の少し低いテーブルの上にカップを下ろす。
「 私の名前は 水瀬 藍(みなせ あい)。
この学園の新一年生。そして一年寮桜の寮長よ」
彼女はそう言うと微笑を浮かべた。
「 あ、私は… 」
「 知っているわ。
さっき生徒手帳を確認させて貰ったから。
今日この寮に入る事になっている、橘 輝夜さんでしょ? 」
私は頷いた。
「 驚いたわよ。
私のお馬鹿な友人を連れ戻しに行って帰ってきたら、あなたが寮の入り口で寝てるんだもの。
起こそうとしても、あなた起きないし、
生徒手帳確認したら、今日入って来るって聞いていたあなただし…
しょうがないから、そのお馬鹿な友人の部屋にあなたを運んだのよ。
あの子の部屋、たまたま一階だったから 」
は、恥ずかしい…
私はその言葉に赤面して俯いた。
その時、
「 ひっどぉーい、藍ちゃん。
お馬鹿なは余計じゃない? 」
その声に顔を上げると、高い位置で栗毛色の髪を二つに結わえた小柄な少女がこっちにやって来る。
手には自分のマグカップらしい、りんご型のコップを持っている。
漂ってくる甘いニオイから中味はココアらしい。
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