寮生活

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「 晃(こう)、エイプリルガールの情報 」    衛は俺に向かって右上をハードクリップで留めた小冊子を投げて寄越した。   「 ………… 」    俺は黙ってそれを受け取り目を通す。    ここは生徒会室。  衛と俺との二人しかいない。さっきまでの騒がしさとは打って変わって静かだ。    「 へぇ、受験回数が異様に多いな…  つい最近も受験してるのか。 今日入ることになったのはそのせいだな 」    俺が呟くと、   「 面白いよね。  この学校から逃げられるわけ無いのに。そんなにこの学校に入りたくなかったんだね 」     衛はクスリと笑ってそう言った。   「 結果は本人知らないだろうけど、受験テストはどれも全て満点。模試も全国2位だから、頭脳明晰ってところは間違いないね。あんまりそう見えなかったけど。  あ、ついでに言っておけば、家庭はいたって平凡 」    両親の学力もたいしたことないよ、と衛は付け加えた。  確かに資料からするにそうらしい。   「 さて、どうするかな? 」    俺は机に頬杖をつくと思案した。   「 家を人質にとっちゃう?  理事長が決めた校則はあるけど、いくらでもやりようはあるよ? 」    衛が最も簡単な手段を提案する。が、   「 それでは面白くない、俺達を殴り飛ばしてくれたんだ。そのお礼はしっかり楽しんでやらないとな? 」   「 それもそうだね 」    衛も最初からその手段をとろうとは思っていなかったのか、あっさりと意見を取り下げた。    さぁ、どうしてやろうか?  俺は再び冊子に目をやった。
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