顔合わせ

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「顔合わせ?」 私は麻婆豆腐を口に運ぼうとして止めた。 目の前には、酢豚、かに玉、餃子、スーミータンが並び、ホカホカと湯気が立ちのぼっている。 今は夕刻。 日もすっかり沈み、あれからいったん寮に戻った私達は、学校内を見学して回った。その後、私にいろいろよくしてくれる二人に感謝の意と、これから宜しくの意を込めて、夕飯を振る舞っているのだ。 「そ。これから3年間、私達はこの桜寮で過ごす事になるわ。 せっかく長い時間を大人数で過ごすんだもの、楽しくいきたいじゃない? 顔合わせは、その第一歩よ。」 「なるほど。」 私は止めたスプーンを口へと運んだ。我ながら今日の料理の出来はいいかんじだ。甘過ぎず、ピリッとした辛みが口に程よく広がる。
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