2001年4月 起床の怒り

4/5
前へ
/40ページ
次へ
 そして私は寝起きのパジャマ姿でボリューム全開のコンポを気にする事も無いまま。扉もカーテンも、全て開けたままの状態で、半分は興味本意で部屋を走って飛び出した。  赤く錆びた階段を、息を切らしながら駆け下りて、大きな人混みに向かって苛立ちの中、僅かな興味本意で人混みに入り込む。  手招きをした白いスーツの男を探す為に、周りに居る人にぶつかっては怒鳴られて居た。  苛立つ人混みに紛れ込み、朝からバカみたいに必死に成って男を探す。自分の行動と有木へ対する想いに若干の抵抗感は勿論有った。  煩くて暑いだけで探す男は見付からない。その為私は暑さに負けて、ジュースの自販機を近い範囲内で見付けて買いに行こうと足を向けた。  その時だった。後ろから肩をポンと、軽く叩かれ驚きながらも振り向く。と――。  「君、ちょっと良いかなー? いきなりで悪いけど、有木の知り合い?」  知り合いと言われるのは何気に腑に落ちない。私はハッキリ応える。  「有木の彼女です!それが何か関係有るんですか? 私は、あの煩く苛立つ人混みが朝から不愉快で溜まりませんっ。 そんな中、貴方に招かれて来ただけです」  斜め前に見えるビルの下の人混みを指差して、人混みを睨みながらも私は男に応えた。すると男は更に尋ねて来た。  「昨夜は有木と逢ってたの?」  男は話ながら歩き出す。自然に私は男の後を付いて行く。気付くと、人混みから少し離れた小さな喫茶店の前に在る、看板の所へ私は来て居た。  『こんな男と2人、有木、居ないよね!』一人ざわめく街道を、有木への恐れと不安で周りを見渡した。  取り敢えず、無関係な質問に適当に応えて、私は男を不審に思い訪ねた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加