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そして私は寝起きのパジャマ姿でボリューム全開のコンポを気にする事も無いまま。扉もカーテンも、全て開けたままの状態で、半分は興味本意で部屋を走って飛び出した。
赤く錆びた階段を、息を切らしながら駆け下りて、大きな人混みに向かって苛立ちの中、僅かな興味本意で人混みに入り込む。
手招きをした白いスーツの男を探す為に、周りに居る人にぶつかっては怒鳴られて居た。
苛立つ人混みに紛れ込み、朝からバカみたいに必死に成って男を探す。自分の行動と有木へ対する想いに若干の抵抗感は勿論有った。
煩くて暑いだけで探す男は見付からない。その為私は暑さに負けて、ジュースの自販機を近い範囲内で見付けて買いに行こうと足を向けた。
その時だった。後ろから肩をポンと、軽く叩かれ驚きながらも振り向く。と――。
「君、ちょっと良いかなー?
いきなりで悪いけど、有木の知り合い?」
知り合いと言われるのは何気に腑に落ちない。私はハッキリ応える。
「有木の彼女です!それが何か関係有るんですか?
私は、あの煩く苛立つ人混みが朝から不愉快で溜まりませんっ。
そんな中、貴方に招かれて来ただけです」
斜め前に見えるビルの下の人混みを指差して、人混みを睨みながらも私は男に応えた。すると男は更に尋ねて来た。
「昨夜は有木と逢ってたの?」
男は話ながら歩き出す。自然に私は男の後を付いて行く。気付くと、人混みから少し離れた小さな喫茶店の前に在る、看板の所へ私は来て居た。
『こんな男と2人、有木、居ないよね!』一人ざわめく街道を、有木への恐れと不安で周りを見渡した。
取り敢えず、無関係な質問に適当に応えて、私は男を不審に思い訪ねた。
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