31人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで?有木が今朝、何?」
「お亡くなりに成られました」
嘘だ!有り得ない!人違いなんだ――から。
私は強く目を擦り、夢だと確認したいばかりに、ほっぺを叩き髪を引っ張り、頭を叩く。『痛いっ!めちゃくちゃ痛いっ。壊れそうに痛い!』それでも納得出来る訳が無い。
闇に包まれた暑さの中で、私は全身の力が抜けて思わず携帯を落としてしまった。
「嘘。絶対に‥嘘。
有り得ないからぁぁーっ」
電話の相手に怒りを抑え切れず、落とした電話に向かい大声で、叫ぶ様に怒鳴りつけた。そして携帯を拾い上げる。
「南雲有木が亡くなったぁー?って同姓同名でしょーがぁー
しっかり確認しなさいよっ!」
「はい。
この電話を持って居たのが亡くなられた御本人様でございます。これに寄り南雲有木様、御本人で有る事が明確に成りました。
‥お悔やみ申し上げます‥‥」
「なんで?どうしてっ?」
「死因は、こちらでも判断し兼ねます。が、南雲有木様が亡くなられました事が明確に成った事は事実です」
信じたくない!受け入れられる訳が無い――。
周りを見渡し有木を探す。有木の姿を只立ち竦んだままで探す。私の中は狂った様に放心状態。暑さに耐えて心から、必死の想いで有木の姿を探した。
最初のコメントを投稿しよう!