携帯電話

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 「それで?有木が今朝、何?」  「お亡くなりに成られました」  嘘だ!有り得ない!人違いなんだ――から。  私は強く目を擦り、夢だと確認したいばかりに、ほっぺを叩き髪を引っ張り、頭を叩く。『痛いっ!めちゃくちゃ痛いっ。壊れそうに痛い!』それでも納得出来る訳が無い。  闇に包まれた暑さの中で、私は全身の力が抜けて思わず携帯を落としてしまった。  「嘘。絶対に‥嘘。 有り得ないからぁぁーっ」  電話の相手に怒りを抑え切れず、落とした電話に向かい大声で、叫ぶ様に怒鳴りつけた。そして携帯を拾い上げる。  「南雲有木が亡くなったぁー?って同姓同名でしょーがぁー しっかり確認しなさいよっ!」  「はい。 この電話を持って居たのが亡くなられた御本人様でございます。これに寄り南雲有木様、御本人で有る事が明確に成りました。 ‥お悔やみ申し上げます‥‥」  「なんで?どうしてっ?」  「死因は、こちらでも判断し兼ねます。が、南雲有木様が亡くなられました事が明確に成った事は事実です」  信じたくない!受け入れられる訳が無い――。 周りを見渡し有木を探す。有木の姿を只立ち竦んだままで探す。私の中は狂った様に放心状態。暑さに耐えて心から、必死の想いで有木の姿を探した。
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