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私の頭の中は真っ白に――。
信じられない現状に涙さえ零す事も無い。只有木の顔と、沢山の思い出をボンヤリと思い浮かべて居た。
『昨日、昨夜迄ずっと一緒に‥今迄普通に付き合って、いっぱい笑って怒って。
出逢ってから喧嘩だって数え切れない位して、それでも一緒に成ろう!って、言って居たのに‥‥。
どうして?有木!嘘だよね?夢ならお願い。私を起こして。お願い有木っっ‥‥』
――有り得ないから――。と、現状が遠退く止まらない有木への感情。有木に残されてしまった私は一人、どぅしようも無い空回りを繰り返して居た。
そんな感情の中、私は只一人。有木が消えてしまった事に対し、胸の奥から有木に叫んだ。
今迄。出逢ってからずっと普通に過ごした二人の時間と思い出そして――私を残して消えた有木。
有木に何が有ったのか、どうして消えてしまったのか。残された私は一人どぅすれば良いのかさえも解らない。
「有木ぃぃーっ‥‥‥」
現状に耐えきれず、暑いビル街の中に差し込む暑い陽射し。僅かな隙間に見えた青空目掛け、真から吠える様に叫んだ。
僅かに覗く、暑く眩しい光を浴びて。
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