真冬の出来事 1999年12月

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 寒さに震えてロングマフラーを何回も巻き付けながら、人混みの明るい街道を求めて歩く事に徹底する私が居る。  今日も一人で塾を終えた寒がりな私は明るい街道の中、街灯が立ち並んだ人混みを掻き分けながらも足早に進んで居た。  そんな中、周りは皆私服の為に、制服姿で一人ブルブル震えながら歩く、こんな私を見ては、不思議な顔や指差して笑ったり――。  私はそんな事より来年の就職活動の事で頭が一杯の混乱状態。一人考え悩み歩く。ひたすら歩く。寒気を飛ばし歩いて暫く経って居た。  街灯の明るさと、人混みの熱を気持ち良く感じ始め、少しずつ、歩くペースが落ちて居た。  前方から何やら自転車のベルの音が何か急かすようにリンリンと響き渡り、煩くしつこい!  そんな事等気にもせず、考え疲れてボーっと無反応で歩き続けた。  近付いて来るベルの音――。  無反応に俯き歩く震える私の目の前に、見えて来たのは飛ばして来る自転車。  気付くと周りの人混みが消えて寒い!前を見て我に返り、自転車を避けようとした瞬間――。  「おら!ボケっ!!」  いきなり見知らぬ男に手を引っ張られた。その勢い付いた力は、半端なく強過ぎて痛い。
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