真冬の出来事 1999年12月

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 「イッタァー」――――。  上を見上げて男を思いっきり睨み付けた。  これが出逢いのキッカケ!  マフラー踏まれてるし寒いし冷たい。更には急な出来事に怒り狂った様に私は怒鳴った。  「イテーっつーの!!」  冷たい歩道に叩き付けられた体を、気合いで震えながら起こし、寒くて溜まらず丸く成った私は、男を上目使いで睨み付ける。  「危ない所を助けた僕に? 君ねぇ、しっかり前見て歩かないと見てた僕が怖かったんだよ!」  何だか最初の言葉とは全く違うイメージの、優しい大人の口調だった。一瞬だけ、耳を疑い私は強気で再度男に向けて怒りを返した。  「冗談じゃ無いっ! 避けようとしたっつーのっ。 邪魔されて私は寒くて痛いっつーの!」  寒くて男の顔を見るどころでは無い。怒り溢れた私の言葉にお構い無しに男は思いっきり大声で笑い出した。笑い声が静かな夜の街道に響き渡り、耳に響く。  「有り得ないっつーのっ。 笑い事ちゃうっつーのっ!」  男は無口に成り、不振に思った私は周りを見渡す。と、笑顔の花盛りに囲まれて居た。  『塾の つもりが――』いつの間にか街中の笑い者に成って居る事に気付き、我に返る。
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