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油責め
デブヤクザ「同胞を殺した者に与える罰か。300度近くの高温の油を注ぎ、苦痛の地獄を与えるっつう」
デブヤクザ「カタキながらこればかりは慈悲深くなっちまう。おっかねぇな」
デブヤクザは青ざめた表情で鍋を見る。
佐々木「石川の野郎への手向けだ」
佐々木「地獄を見せてやる」
佐々木はその鍋を手に持ち、ゆっくりと男性に頭に注ぎ始める。
事務所内にいたほぼ全員が目を逸らす。
が
音がしない。
皮膚の焼ける音が
絶叫が
匂いすらもしない。
佐々木「……?……?」
気がつけば鍋内の油は全てなくなっていた。
しかし
男性は先ほど同じようにこちらを笑いながら見ている。
地面に油の水滴すらない。
「ふひ……何も効かない」
「私に触れる者は全て無へ消え去る」
「その鍋の中にあった油はもうこの世には存在しない」
「どこへ行くのかもわからない。ただ、この世から消える」
男性を覆っていた紐は突然消滅し、ゆっくりと立ち上がる。
「もう終わりだ。君達を過信していた私が馬鹿だったとしか言い様がない」
「だが楽しかったよ。自分が『人とは違う』事による優越感をひしひしと感じられた」
「終わりだ、全てを消そう」
男性の顔つきは『普通』に戻る。
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