衝動

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  嫌なことがあった。何回も。 耐えることを諦めた。そこはあたしの自由でいいと思ったから。     今までやろうなんて思ったこともないことをやってみた。リストカット。死にたいと思ったんだ。決断したらすぐ実行。だけど死ねなかった。結構深くえぐったのに。見つかって母親に病院に連れてかれ、救われてしまった。大変不本意。せんせいは「相談にのるよ」と言った。だから「せんせい、どこを切ったらすぐに死ねますか。やっぱり首ですか。」って言ったら「どうしたの」って。せんせい、質問したんだからちゃんと沿った回答をしてよ。あたしは病院のベッドの上でぐるぐると考えた。ああ、後悔する前にフッと消えたい。意識も、体も。 「ばーん」 指で作ったピストルの弾は確かにあたしを貫いた筈だった。脳内では。でも確かにあたしはここにいる。布団を人型に沈めてシーツにシワを作ってる。サヨウナラも言わないで、もとから居なかったかのようになりたいのに。誰か、ねぇ誰でもいいから。ピストルをくれませんか。               「ばーん」って伸びる音はどこまでも鋭く響いて欲しいなって思う。 置き土産に、最後の最後は誰かをその音で貫いてやるんだ。体のあっち側まで。             残念ながらそいつはあたしを憎めはしないけどね。         あたしは居なくなれてるんだから。
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