5人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
嫌なことがあった。何回も。
耐えることを諦めた。そこはあたしの自由でいいと思ったから。
今までやろうなんて思ったこともないことをやってみた。リストカット。死にたいと思ったんだ。決断したらすぐ実行。だけど死ねなかった。結構深くえぐったのに。見つかって母親に病院に連れてかれ、救われてしまった。大変不本意。せんせいは「相談にのるよ」と言った。だから「せんせい、どこを切ったらすぐに死ねますか。やっぱり首ですか。」って言ったら「どうしたの」って。せんせい、質問したんだからちゃんと沿った回答をしてよ。あたしは病院のベッドの上でぐるぐると考えた。ああ、後悔する前にフッと消えたい。意識も、体も。 「ばーん」 指で作ったピストルの弾は確かにあたしを貫いた筈だった。脳内では。でも確かにあたしはここにいる。布団を人型に沈めてシーツにシワを作ってる。サヨウナラも言わないで、もとから居なかったかのようになりたいのに。誰か、ねぇ誰でもいいから。ピストルをくれませんか。
「ばーん」って伸びる音はどこまでも鋭く響いて欲しいなって思う。
置き土産に、最後の最後は誰かをその音で貫いてやるんだ。体のあっち側まで。
残念ながらそいつはあたしを憎めはしないけどね。
あたしは居なくなれてるんだから。
最初のコメントを投稿しよう!