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「おいっ、なんで俺のこと見ないんだよ!」
「だから、別に何でも無いから…な?」
「な?じゃねぇよ!」
祥太を直視出来ない怜は分かるとして、祥太は何をあんなにムキになってんだか。
つか怜もいい加減馴れろよな。
「怜っ!なぁ、なんでコッチ向かないんだよ」
こりゃもぅどうにもなんねぇなぁ。
これ以上騒がれても面倒くさいだけだし、不本意ですが、俺の出番ってやつでしょうか。
それにこれ以上ほっとくと、祥太のやつが何しでかすか分かんないしな。
「おい祥太、もぅ諦めろよ。それに「もしかして怜…俺の事、嫌い?」
は?
人の台詞に被せてきて、何言ってんだコイツ。
ほれ見ろ、怜なんか目が点になってんぞ。
「怜、俺の事嫌いになった?俺なんかした?俺がうるさいから?」
うわ、祥太もぅ泣く寸前じゃん。
俺の制止は一足遅かったみたいだな…。
あぁ…また面倒くさいことに…。
「べ、別に祥太の事が嫌いなわけじゃないぞ!」
流石の怜も大慌てだ。
自分のせいで泣いたとなると余計にでも慌てるよな。
「俺、悪いトコあったんなら…あ、謝るからぁ…嫌いになんないで…」
本格的に泣き始めた祥太。
そして本格的に慌てだした怜。
「だからお前の事が嫌いだから目を合わさなかったんじゃなくて、その…なんていうか…」
「ちゃんと言ってやれよ怜」
じゃないとこの場がおさまんない。
「祥太、ちょっと落ちつこうな?」
そう言って、俯いて泣いている祥太の顔を怜が両手で優しく包み込み、顔を上げさせた。
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