第一話

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   私のこの鋭き八重歯を見よ。  この鋭き牙が私達一族の証。  私の牙を少しでも見たら、誰もが私の存在を知り、地を這いずってでも逃げ出すほどの恐怖を覚える。  私達一族は気高き吸血鬼。  あの眩く輝かしい夜を華麗に飛び交い、美しき人間の血潮をすする一族。  人間達の血潮は何と甘美なのであろう。牙を伝い、体中に響きわたるあの味覚と口当たりを一度口にした我らには、人間の生き血無しには生きてなどいけない。  今宵もまた、凶暴なこの自慢の牙があの甘美たる血潮を求め、疼いて――  ――いたあの心を、いったい私はどこに落としてしまったのだろうか。  
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