ー怒ー

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『さて、行こう』 「うん」 『今度は僕の友達を紹介するよ』 「うん」 またしばらく歩いた 人間はこんなに歩くのか 『ここだよ』 肩から飛び降り、 (ニャーン)と鳴いた (カチャ) 「サン、どこに行ってたの?心配したんだから」 (ニャーン) 「よしよし、待っててね」 そう言ってまた中に入って行った 「何故、話さないの」 『話せないからさ』 「話せない?」 『人間に僕達の言葉はわからないんだ』 「面倒臭いんだね」 『まぁね…人間は勝手に僕達の気持ちを解釈するからね』 「うん」 『病気になっても、触られたり、構って欲しい時に擦り寄ると怒られたり…』 「人間の解釈は勝手だね」 『うん…でも、それでうまく成り立っているんだから不思議だね』 (カチャ) 「はい、どうぞ」 (ニャーン) サンは人間に何かを貰っていた 「それは何?」 「えっ…あっ、もしかして貴方の猫?」 「いや…」 「よかった~、サンを連れ戻しに来たのかと思った」 女の子はサンを撫でながら言った 「サン、どうすればいい?」 『話をしてみたら?』 「話…」 「もしかして…サンと話が出来るの?」 「えっ…」 「すごい!」 女の子は目を輝かせながらムーンを見た 「お願い!サンに聞いて欲しいの」 「何?」 「私の事を好きかどうか」 「だって…」 『大好きだよ』 「大好きだよ」 サンの言葉を伝える 「ホントに?よかった~」 『行こう』 「うん」 「あっ…サン!」 その場を立ち去る 「いいの?」 『近付きすぎない距離が1番いいんだよ』 「何故?」 『僕達を見て人間は可愛いと言う…だけど、可愛いと言うだけでは友達にはなれないんだ』 「うん」 『人間に飼われれば、眠る場所も、食事にも困らないけど、自由がない』 「自由…」 『だから僕は自由を選んだんだ』 生きていく為に人間と 仲良くなって餌をもらう だけど、飼われるのは いや… わからないな
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