ー怒ー

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夜の街を歩く 『僕はこの夜の街が好きなんだ』 「変わってるね」 『一人ぼっちでも、ここに居れば寂しくないから』 「そう…」 寂しいってなんだろう… 『信号だ、青だから渡ろう』 肩から飛び降りて 道路を渡るサン 「サン!何か来た」 『えっ?』 (キキッー!) (ドンッ!!) 『ギャン』 「サン…?」 『青でも…車は来る事を…忘れてた…よ』 「サン!!」 (何だ、猫か!) (車が汚れたな) (ったく…猫でよかったよ) 『はは…猫でよかった…か…』 「サン…」 「待て!」 (何だよ!) 「何故、赤なのにとまらない」 (たかだか猫だろ?) 「許さない…」 (な、何だ?) (寒い…) 「サンの痛みをお前達にも…」 『だめ…』 「何故?」 『ムーンが怒ってくれただけて…いいんだ』 「どうして!」 『初めての感情だろ?』 「あっ…」 『それが…怒り…』 「サン!」 そっとサンを抱きしめた 「大丈夫だよ…治してあげる」 『ムーン…』 そっと瞳を閉じ サンに優しく触る 碧い光が包み込む 「これで……大丈夫」 『ムーン!今すぐ戻ろう』 「駄目みたい…」 力を使いすぎたムーンの体は、透き通っていた 『駄目だよ!ムーンがいなくなるなら助かっても仕方ないよ!』 サンは涙を零した 「それは何?」 『涙だよ』 「どうして水が流れるの?」 『悲しいからだよ』 「ごめん…わからないや」 『ムーン!』 「でも…力が少し出て来たみたい」 『戻ろう』 「うん…」 白い雪が二人を包む 『戻れた』 「うん…」 (バタッ) 『ムーン!』 「大丈夫…しばらく… このまま…で」 そのまま瞳を閉じた サンは倒れたムーンの 隣で、目を覚ますのを 静かに待っていた
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