537人が本棚に入れています
本棚に追加
(ペロ)
「んっ…」
『ムーン!』
何日か眠り続けたムーンが目を覚ます
「………サン」
『よかった』
「ずっと…傍についていてくれたの?」
『うん…僕にはそれくらいしか出来ないから』
「寒かったでしょ?」
『大丈夫!寒さには強いって言っただろ?』
「サン…」
初めて会った時は
殺してしまおうかと思った
生かしているのは
単なる退屈しのぎのはずだったのに
今は、そんな事は
どうでもよかった
それほど、大切な存在になりつつあったから
二人はいつも一緒にいた
それが当たり前だと
思えていたから
「♪~♪♪」
サンが歌を口ずさむ
『それは何?』
「これは歌だよ」
『綺麗な声だね』
「ムーンにも出来るさ」
『出来るかな?』
「教えてあげるよ」
そう言って、サンは
ムーンに歌を教えた
音のない世界に
二人の歌声が広がる
(ヒョコ)
「誰?」
『あれは、ウサギだよ』
「殺していいもの?」
『ダメ!僕達の歌を聴きに来たんだよ』
「歌を?」
『うん…この世界には
ないものだけど、みんな歌が好きみたいだね』
そう言ってまた
歌いだす
(ヒョコヒョコ)
(バサバサ)
(ピョンピョン)
気が付けば
回りには今までムーンを
怖がって隠れていた動物達が姿を現わし歌を聞いていた
「君達にも教えてあげるよ」
サンは動物達に優しく
話しかけた
最初のコメントを投稿しよう!