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『その前に…』
そう言いながら
白い生き物は精霊の肩にピョンと飛び乗った
『僕は猫のサン…貴方は?』
そう言われ、精霊はただ
サンを見つめていた
『もしかして、猫を見るのは初めて?』
「うん…」
『名前を聞かれるのも?』
「名前?」
『僕にはサンと言う名前がある…生まれた時に
つけてもらった名前だよそして、死ぬまでこの名前と付き合うんだ』
「生まれた時…死ぬまで…」
精霊にはわからない話だった
なぜなら
いつ生まれたのかも
死ぬ事がどういう事なのかも
精霊にとっては必要のない話だから
『わかりました…では、僕が貴方に名前をつけさせて下さいね』
「好きにしろ」
サンは精霊の顔を見つめ、(ニャン)と小さく鳴いた
その鳴き声も
精霊には初めて聞く声だった
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