ー喜ー

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『決まりました』 サンはそう言って 精霊の頬に、頭を擦り寄せた 「あっ…」 『あっ、ごめんなさい…ついやっちゃった』 「いいよ…フワフワだね」 初めて触る触感 フワフワの柔らかい毛並み 『貴方の名前はムーンです』 「ムーン…」 『僕が太陽だから、貴方は月にしました』 「ムーン…私の…名前」 『はい、これからは名前で呼びますから貴方も名前で呼んで下さいね』 「………サン…」 『何ですか?ムーン』 「あっ…何だか…何だろうこの気持ち」 サンは笑えないムーンに向かって言った 『それが嬉しいと言う気持ちだよ』 「嬉しい…」 『うん』 「嬉しい…」 『あのね…嬉しい時や、喜んでいる時は、笑うんだよ』 「笑う?」 『こうやってさ』 『あはははは…』 「あはは…」 『そうだよ、あとは嬉しい気持ちが笑いを後押ししてくれるよ』 「嬉しい…笑う…」 「クスクスッ」 精霊は初めて笑った それは 初めて名前をつけてもらった事が 嬉しかったから 「サン…」 『なぁに?ムーン』 「サン」 『ムーン』 いつまで名前を呼び続けながら 嬉しそうに笑う精霊がいた ひとつめのプレゼントは 喜び…
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