雨宿りした日のこと。

4/8
前へ
/55ページ
次へ
「あっちゃ~。見事に降られたよ。天気予報なんてあてにならないね…。」 そのニンゲンの女の子は元気に話すと、ビショビショの体を拭き始めた。 もちろん、ワタシのことなんか…。 「わぁ、にゃんこだっ!!うむむ、先に雨宿りしてたのかぁ。ねぇねぇ、私もここで雨宿りしてもいいかな?」 あれ? 気付いてるばかりか、ワタシにお願いしてる…? 「…だめ?」 そのニンゲンの女の子はワタシを抱き上げて、またお願いする。 こんなニンゲンもいるのか…。 不思議な気持ちのワタシは、女の子の指を舐めて了解の意志を伝える。 「あははっ、オッケーだよね!ありがと!私は、真輝だよ。アナタは?」 ワタシに名前? そういえば、名前を呼ばれた事なんてない。 困惑気味のワタシを抱いた真輝と名乗る女の子は、近くのベンチに腰を下ろした。 「…名前とか、わからなくても友達にはなれるか…。」 真輝はそう呟くとワタシに提案する。 「雨、止みそうもないね…。そうだ!一緒に雨が止むまで、おしゃべりしよっか?」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加